【感想】1917 命をかけた伝令

 

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○ストーリー

ただ血生臭い映画でない事がこの作品の凄いところです。確かに多くの遺体が映し出されますが、ストーリーはしっかりと筋の通っている作品だったと感じました。そして、ワンカット撮影の作品となるとストーリーが薄っぺらくなってしまうように思えますが、そんな事はなく、ラストでしっかりと観客の心を掴むことに成功していました。あと、この脚本の凄いところが「死」に対する恐怖感が完全に乗っ取られます。というのもよく戦争中は「人の死が普通に思えるようになってくる。」「死体が転がっていてもなんとも思わなかった。」という事を聞いたことがあるのですが、この作品ではまさにそれが起きます。最初は確かに少し抵抗感がありましたが段々とそういうものだと思い込ませられ、中盤はなんとも思わなくなります。ですがラストのシーンに近くに連れてその恐怖感や異常性が再び現れてきます。これは終盤になって子供や女性、花などが印象的に描かれていた事が影響しているんじゃないかと思います。

 

○キャラクター

設定というよりもそのキャラクターをどのようにして生えさせるかという点にこの作品は長けていたように感じます。中盤の主人公の描写とかものすごくリアルでした。それにロードムービー的な作品なので他のキャラクターはほんの数分の登場しかありませんがそこにさらに深みがつけられていたのも印象的でした。

 

○音楽

とにかく緊張感のある音楽が多かった印象です。ただ、パラサイトのような優雅さは無かったかなっていう印象でもあります。そして音響が凄いです。飛行機の飛ぶ音がものすごくリアルでした。また、爆発音や銃声が爆音で心臓に悪いですが、それもまたこの作品のリアリティを上げています。

 

○撮影・編集

撮影はノーカット映像をいくつも繋げ合わせているものなのですが、カットを入れるために人や物に思いっきり寄るシーンがいくつもあったのが少し気になりました。それに結構スタビライザー使っているのが目に見えてしまったのが残念でした。ですがおそらくカットしているであろう部分の前後の映像が自然につながっているのは技術的にも脱帽物です。あと、視聴効果がすごかったですね。というのも建物が燃えている描写はCGで作られているのですが、それを知らずに見ると本当に燃えているように見えるんじゃないかと思います。

 

○まとめ

この作品を観る前はストーリーが薄っぺらいんじゃないかと思っていましたが、実際全然そんなことはなくむしろラストは感動的でした。セットや音響の編集などとにかくリアルに作りこまれている作品でした。この作品は映画を体験するというよりも本当に戦争を体験するといった作品で終始ハラハラでした。カメラの動かし方(特に引きと寄り)が少し気になりましたが総じて良い作品だと思います。

 

今回紹介した映画

1917-movie.jp

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