【感想】映画大好きポンポさん

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『映画大好きポンポさん』

「某愛好家の映画期にポンポさんが来ったぞー!」

とポンポさんに言って欲しいところです。

 「映画」がテーマであり、大好きな花譜を始めとしたKAMITSUBAKI STUDIOからのアーティストが挿入歌、主題歌を歌うという俺得な映画がついに公開されました。とにかく内容が最高だったのでシンエヴァ以来?の感想書きます。一応ネタバレ注意です。

 

  • まずは音楽!!

神椿忖度じゃないかと疑われそうなのであえて先に音楽について話します。はい。最高です。まず松隈ケンタさんのスコアなのですが見事に映画製作の楽しさと狂気を音楽から感じることができます。明るいめで心がはずむような音楽から思考が巡るような狂気すらも感じる音楽まで、音楽で映画製作を感じることのできるスコアでした。そしてカンザキイオリさんが作詞作曲した挿入歌と主題歌。しっかりと歌詞を読むとより作品に感情移入することができます。『反逆者の僕ら』はアラン、『例えば』はジーンのそれぞれのシーンでの心情を表しています。前者に関してはアランだけでなく何らかの原因でボロボロになった人が「映画」から受け取る夢を抱いて反逆するという映像と噛み合ってものすごく感動的なものになっています。後者に関しても編集で勢いに乗った時の疾走感とジーンの成長を感じさせる感涙のシーンでした。主題歌は先日公開されたMVと合わせてみると『映画大好きポンポさん』という作品の裏のストーリーとしてCIELさんがオーディションによって発見されてそこから一歩踏み出すような力強さ。そしてこの作品のメインテーマとも言える「夢」を追う気持ちをさらに強くしてくれるような力があるように感じました。

 

 

  • ストーリー

 創作側と一般側の両極を描くのは面白いですね。自分はどちらかというとジーン君目線で見たのですが、その葛藤や苦しみなんかは共感できました。というか、映画の中に自分を見つけるという過程が素晴らしくて、ダルベールに自分を重ねているジーン君に自分が重なりました。そして、劇中劇とストーリーがリンクしているのが気持ちよかったです。そして世間的にマジョリティであるアラン君側のストーリーも面白くて所謂、陽キャが社会で良しとされている進路に沿った結果、夢も何もかもを失っているというキャラクター性がリアルでした。それでも映画の制作をきっかけに人生が明るく進み始めるという希望に満ちた結末になるのが良かったですね。

 あとは作品制作の描写がリアルでしたね。スイスの場面なんかは現場が一体となって作品のアイディアを出していくというまさに理想的な現場が描かれていたのはジーン君目線で見ていた自分からすると嬉しかったですね。ただ、試写が一回しかないのかよというツッコミはありましたが……そして、現場ではなく編集にスポットを当てたのは成功だったと思います。原作コミックも読みましたが、編集の描写はほとんどありません。でも、映画ではアクションシーンの代わりに編集シーンをかっこよく描いてたのがたまらないですね。実体験からすると編集作業ってものすごく楽しいんですよね。それなのに世間的には現場の仕事しか注目されない。そこに今作では編集シーンをあんなにカッコ良く観せてくれたのは最高でしたね。

 

  • 料理が美味しそう!

 コメンタリー上映でも少し話されていましたが、料理がとびきり美味しそうなんですよね。ナタリーちゃんが作る手料理はじめとしてブリトーからドーナツみたいなアメリカンな食べ物だったり、ポンポさんがカフェで飲んでるクリーム盛り盛りのドリンク、スイスでみんなが食べていたランチ等々めちゃくちゃ美味しそうな料理が出てきますね。食事のシーンを魅力的に書けるのはその人の人間性とか関係性を表すのに役立つので小さな工夫ではありますが、この作品を良くしている要因ですね。

 

 やっぱりキャラクターの魅力がすごいですね。どんな人が見ても共感できる人物が一人はいるのではないでしょうか。プロデューサーのように人の上に立つ仕事をしている人はポンポさん、創作意欲に満ちている人はジーン君、役者を目指している人ならばナタリーちゃん、創作とは離れたところにいる人はアラン君もっと噛み砕けますが、この辺にして、とにかくキャラクターの多様性が魅力的な作品であったと思います。キャラクターに多様性があるとその映画に自分自身を見つけられる可能性が高くなるので。

 そしてそれぞれの新人のキャラクターたちが成長しているのも面白いですね。ジーン君、ナタリーちゃん、アラン君の3人ですね。特にナタリーちゃんがdeleteキーを押せないジーン君の手に手を添えるシーンなんかはナタリーちゃんの成長表してて結構好きなシーンです。あとジーン君も辿々しさがなくなっているし、アラン君は陽を浴びてるしで、もうてえてえでしたね。

 

  • まとめ

 本当にめちゃくちゃ面白くて良い映画を観れたなと思いました。正直言って生涯ベストの作品の一作になることは間違いないし、観た後に創作意欲が湧きまくりの作品なんて久々に観た気がします。神椿のアーティストが主題歌、挿入歌を担当するというのが動機になって観に行った作品でしたが、本当にキャラクター、ストーリー全てが好きになれました。主人公たちが否定されなかったり、壁にぶつからないというのは若干リアリティに欠けますが、そのせいもあってクリエイティブに対するモチベーションを上げられる要因なのかなって感じです。インタビューとか見るとかなり細かいネタが張り巡らされているようなのでもうすぐで上映は終わってしまう劇場もあるようですが、ディスク化したらDVDがすり減るくらいは観たい作品でした。

 

 

 

今回紹介した作品はこちら

pompo-the-cinephile.com

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