【感想】空の青さを知る人よ

一応見てきた作品。今回は辛口かも。

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○ストーリー

この作品を通して「ヤマアラシのジレンマ」をテーマにして作品作りが行われていたと思います。主人公が姉の恋を応援するか、自分の恋を成就させるか。仮に姉の恋が成功してしまえば、自分の恋は失敗に終わるし、自分の恋を成就させれば姉の事を見捨てることになる。と言った葛藤を描いていたかと思います。この設定自体はいいと思うのですが、全体的に見ても話が大げさすぎる。主人公の前に現れたのが姉の元カレの過去の姿でそれが地縛霊だったっていう設定は百歩譲って許すにしても、演歌歌手みたいなのが出てきたシーンでは現実離れっていうか常識外れみたいな感じで好きになれなかったし、他にも補欠のメンバーとして、高校生と元バンド仲間を選ぶシーンなんかも常識外れな気がして終始納得がいきませんでしたね。あと、ラストも結局バンドの練習とかも恋愛のための道具みたいな扱いになってたのがどうも解せない感じでした。

 

○キャラクター

この作品で唯一マシだったのがキャラクターの設定。主人公をはじめとして姉だったり、恋人の対象になってる人のキャラクターにも葛藤がつけられていて人間味のある感じがしましたね。ただ、モブがかなり自分勝手な感じがして、特にあの歌手が苦手でした。自分の身勝手な行動が原因で1人の命を奪っていたのかもしれないっていうのに責任を感じていないというのが納得のいかない部分でしたね。

 

○音楽

なんというか、全然印象に残っていないですね。たしかに劇中でのベースの音での音響編集とかは上手かったと思いますが、それ以外全然印象に残らないつまらない音楽ばかりでした。一応、主題歌になっているあいみょんの曲も悪くはないと思うんですけど、何度も聴こうとはならない曲でした。

 

○映像技術

この作品で一番酷かった点ですね。まず、ワンカットが10秒前後。おそらく製作陣はリズム感を重視してこのような事をしたと思うのですが、むしろそれが逆効果に働いています。10秒前後、しかも定点で場面が変わるのでどうも単調的で視覚的につまらないという印象を受けます。そして、それがあからさまにカットされているというのを感じさせるものばかりでそれが余計にその悪さを際立たせていました。ここで比較に出すのは黒澤明監督に申し訳ないですが、黒澤明監督の作品のカット技術は出来るだけカットされているのに気づかせずかつ一つ一つのカットを大事にして撮っています。そのカットの丁寧さが全く無いように感じたのもこの作品の悪い点です。また、秩父三部作とか巷では言われているようですが、秩父という自然豊かな環境を台無しにしている気がします。他の作品はどうなのか知りませんが、全く自然の美しさであったり、みずみずしさが感じられない。ただの背景としてしか捉えられていないのが面白くないです。

 

○まとめ

テーマはなかなか面白い物を持ってきたと思いますが、その他が全く持って良くない。観た後にこの程度の作品かと思わせられるような作品でした。まあ、こういう青春ラブストーリーが苦手なだけかもしれませんが、自分にはあまりハマらなかった作品でした。