【感想】Fukushima50
幸運にも試写会が当たったので一足先に観てきました
○ストーリー
とにかくリアルでした。ちょっとだけスタッフの情報を調べたのですが、ストーリーを決める要と言える原作者や脚本家などの人達は福島どころか東北出身ではないようです。それなのにあそこまでリアルに震災直後の町の様子を描けていたのには感激しました。この映画を観た人の中ではリアル版シン・ゴジラと例える人が出てきそうだとも感じました。劇中、自衛隊が活躍する場面があるのですが、そのシーンはどこかシン・ゴジラのようなかっこよさがありました。そして終盤に向かうに伴ってこのストーリーは福島第一原発と戦った人々の戦いを描いているのではなく家族の温かさを描いている作品なんだと感じさせます。官邸や東電本社のような離れた所から口出しをする人達や何が起きているのかもわからず避難生活をする住民、自衛隊や米軍などとにかくあらゆる方向から描かれている人達が相乗的に感動的なストーリーを紡いでいました。
○キャラクター
とにかく出てくる人物全員がカッコイイです。福島や日本を救うために原発内で命を投げ打ってでも戦い続ける人達の姿が本当にカッコイイ。原発で戦っている人達のキャラクター像もそれぞれに意思や思考があってそれがぶつかり合ったり共鳴しあったりでこの作品をより良い物にしていました。個人的に火野正平さん演じる大森さんが推しでしたwあと、ちょっとしたギャグ要員もいたりしてクスッと笑えるやりとりがあったのも良かったです。また、その逆にヘイトを向けるべき所もきちんと用意されていたのも高ポイントです。
○音楽
全体的に緊迫感を出すような音楽が使われていました。原発内を走り抜けるようなシーンではその内部がどれだけ危険なのか感じさせるのに音楽が一役買っていました。また、ラストに使われている音楽はそこで映る景色がより美しく見えるような音楽で感動的でした。
○撮影・編集
原発内の話なのでよくテレビ番組でやってる『激震!!福島第一原発の真相!!!』とかいう類の特集の再現ドラマのような演出もあるかと思いきや、全然そんなことはなく、地震や津波が起きた時の描写は鳥肌物でした。また、原発内での作業を描く際のカメラワークが特に印象的でした。あと、音響の編集もしっかりとリアルにされていて、例えば地震の轟音で声が通らない様子がちゃんと演出されていたのが良かったです。ただ唯一残念だったのが固定カメラに動きがなかったです。一度観たカメラ位置から撮影された映像が何度か映されていたのがちょっとだけ気になりましたね。でもそれも音楽や編集による雰囲気変えで状況の移り変わりのような物を表現していたのかもしれないと思うと高評価なのですがw
○まとめ
東日本大震災から9年が経ったこのタイミングでこの作品を出すのは本当に意味があることだなと感じます。悲しいことに記憶というのは消えていくもの…この映画ではあの時の混乱をいい意味で思い出させてくれる映画かと思います。先ほども言った通り、この作品は家族の温かさが隠れテーマになっていると感じました。そしてあの当時、どれだけの人達が命がけで戦っていたのかというのをこの現代において発信しているこの映画は多くの人に刺さるんじゃないかと思います。あと、この作品のフライヤーは今のうちに入手しておいたほうがいかもしれません。というのもフライヤーの中に登場人物や用語が紹介されているのでこれを読んでから鑑賞することをオススメします。
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